体験学習Ⅰ
（2022年度 いとく×聖短コラボ 幼児期向け和惣菜の新商品化）

栄養士養成課程となっている健康栄養専攻の1年生が「体験学習Ⅰ」の授業の一環で、子育て世代の食生活支援を目的とし、幼児期向けの便利な総菜の開発に取り組みました。秋田県内で多くの店舗を持っている株式会社伊徳様（以下、いとく）の協力のもと、学生考案のレシピを県内いとく各店で販売していただく試みも行いました。また、活動内容に関する動画をYouTubeに公開する活動も行い、この活動については、生活文化専攻の学生にも参画してもらいました。

活動の背景

近年、社会構造やライフスタイルの変化に伴い共働き世帯が増加しています。共働き世帯では、家事や育児の両立が難しく食事の準備にかける時間が十分に取れないため、冷凍食品や総菜などを利用する傾向があります。また、子どもの食をめぐっては、発育・発達の重要な時期でありながら、栄養素摂取の偏り、小児期における肥満の増加など、問題は多様化、深刻化し、生涯にわたる健康への影響が懸念されています。身体機能や内臓機能が未発達な幼児期にとって食はとても重要であるにもかかわらず、何を食べさせたらよいのか、好き嫌いなどによる偏食の対応の仕方などに不安を抱える養育者が多いことが指摘されています。最近では、離乳食であれば調理器具や市販品などが充実してきているのに対して、幼児期の食については選択肢が非常に少ないという現状があります。

活動の目的

本活動の目的は、現在の子どもの食生活の実態を理解し、共働き世帯が安心して利用できる栄養バランスに優れた惣菜の開発に取り組むことです。中食として手軽に利用できる幼児期向けの惣菜の商品化を目指し、栄養士養成施設として培ってきた本学の知識や技術を活かしながら県内企業と連携して取り組むこととしました。本活動は、県内企業が求める人材の育成も兼ねており、共生社会実現への関心を深め、地域社会のニーズに即応できる人材育成のための教育を図ることも目指しました。

活動内容

レシピ考案

幼児期では魚・大豆摂取頻度が他食品群に比べて少ないという現状があるため、魚介・大豆加工品を取り入れるようにしました。また、地産地消促進のため、県産の枝豆・干し椎茸を積極的に活用するレシピを考案しました。

■　レシピ開発にあたり、考慮したこと
・幼児期の成長に必要な栄養素であるカルシウムや鉄を強化し、薄味に仕上げる。
・副菜の全体量を50～90g程度になるよう調整する。
（1～2歳：50～60g、3～6歳：90g）
・幼児期の食べやすさを考慮し、柔らかさ、大きさ、食感、味付け、見た目等を工夫する。

■　惣菜化するにあたり、考慮したこと
・衛生面に考慮し、炒める、煮るなどの加熱調理法で仕上げる。
・家庭での調理に取り入れてもらうことも想定し、身近な調味料や食材を使用する。

考案したレシピの試作調理

考案したレシピに基づき試作調理を行いました。調味料の配合や食材の切り方、作業工程などの調整が必要なものについては、数種類の試作品を調理した後、レシピを決定しました。また、試作調理の際に、いとくデリカ部職員2名を招き、メニューを試食後、総評をいただいきました。

■　いただいた総評コメントの一部
・カレー味は幼児向けとして、牛乳を加えてマイルドにしたり、風味のみをつける業務製品もある。
・おやきなど成形する必要があるレシピは、作業工程に時間がかかり、商品化は難しい。
・ヨーグルトの味付けは魅力的だが、食品衛生検査で規格外となってしまう。

栄養満点！枝豆入りきんぴらごぼう	さくらえびと枝豆の大根おやき
干ししいたけのカラフルあんかけ	枝豆・干し椎茸入り　カラフル炒り豆腐
花咲くカラフルごぼう炒め	かぼちゃと枝豆の具沢山ごま味噌煮
野菜のなんちゃって！切干大根　焼きそば風	ほんのりカレー風味　切干だいこん炒め
カラフル！れんこんのはさみ揚げ	ヨーグルトで味付け！和風切り干し大根炒め

レシピ資料作成

考案したレシピをまとめた冊子の作成を行い、いとく店舗での開発商品の店頭販売の際に、無料配布しました。学生が考案したレシピの全てが商品化されたわけではありませんが、レシピ集には考案した全レシピを掲載しました。

作成したレシピ集

店頭配布の様子

レシピ冊子の中身の例 （栄養満点！枝豆入りきんぴらごぼう）

レシピ冊子の中身の例 （枝豆・干し椎茸入り　カラフル炒り豆腐）

動画作成

本事業の成果を地域社会に還元することを目的として、以下の3種類の動画を作成し、YouTubeに一般公開を行いました。こちらから学生が本活動で作成した動画を全てご覧いただけます。

レシピ動画

  考案したレシピの動画化を行いました。レシピの動画化については、レシピ資料と同様、レシピを考案した学生が担当しました。レシピ動画に利用する画像素材の撮影も、レシピを考案した学生が担当しました。調理の工程が分かり易く伝わるように適宜工夫をしました。

レシピ動画の例

（枝豆・干し椎茸入り　カラフル炒り豆腐）

レシピ動画（英語翻訳版）

  通常のレシピ動画に加えて、英語の翻訳を付与したバージョンの動画も作成しました。翻訳作業は生活文化専攻の学生が行いました。

レシピ動画（英語翻訳版）の例

（枝豆・干し椎茸入り　カラフル炒り豆腐）

活動風景動画

  「体験学習Ⅰ」の授業における本活動の様子をまとめた動画の作成を行いました。活動風景動画については、生活文化専攻の学生が作成を行いました。

活動風景動画

開発商品の店頭販売

第1弾

  考案したメニュー「切り干し大根のカラフル炒り豆腐」を第１弾商品として販売しました。2022年12月9日（金）16：00～約１時間程度、対象学生4名がいとく自衛隊通り店の店頭に立ち、来客者に向けて開発商品の説明やレシピ集の紹介をしました。「切干大根のカラフル入り豆腐」は、12月9日～11日の3日間、秋田県内いとく全店舗にて限定販売されました。また、こちらの学生による店頭販売については、秋田魁新報の新聞記事に掲載されました。

店頭販売の様子（学生の店頭説明）

店頭販売の様子（売場）

第2弾・第3弾

  第2弾の「切干大根の焼きそば風」が2023年2月11日～17日、第3弾の「枝豆入りきんぴらごぼう」が2月18日～24日、秋田県内いとく全店舗で限定販売されました。

第2弾　切干大根の焼きそば風

第3弾　枝豆のきんぴらごぼう

販売商品の評判調査

秋田市や大仙市の幼稚園・小学校、県内の公共施設等に配布されているフリーペーパーの「ママファミ」にご協力いただき、紙面およびママファミWEBサイトで販売商品の宣伝をしていただきました。加えて、実際に販売商品を購入した読者からの評判・感想を収集していただきました。評判・感想の収集については、第1弾～第3弾の販売商品それぞれで行いました。対象は、就学児〜小学生の子ども、およびその保護者です。

第1弾

■　ママファミに寄せられたコメント（第1弾：「切干大根のカラフル炒り豆腐」）
・細かく刻まれているので、スプーンでパクパク食べていた。
・優しい味で食べやすかった。
・ひじきの煮物やご飯は苦手ですが、これはモリモリ食べました。
・今後も幼児も食べられるお惣菜が通年販売であったらいいな。
・野菜系のお惣菜、もっと食べてみたい。

第2弾

■　ママファミに寄せられたコメント（第2弾：「切干大根焼きそば風」）
・野菜嫌いの子どもが「これなら食べれる！」とモリモリ食べていた
・甘くて食べやすい（大人はちょっぴり甘いかも？）
・枝豆・コーンがたっぷりで喜んで食べた
・子どもがおかわりをして食べた
・ツナでよく味が絡んでいておいしい

第3弾

■　ママファミに寄せられたコメント（第3弾：「枝豆入りきんぴらごぼう」）
・舞茸の風味があっておいしい
・業務用のささがきごぼうは2つの意見がありました
1.柔らかくて子どにも食べやすい
2.もう少し食感が欲しい（千切りタイプのほうがよい）
・パプリカで彩りをプラスするなど、よいアイデア！
・おそらくお醤油等調味料が業務用であるためか、少し味が濃く感じられました