春を待つ短大から

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春を待つ短大から

今は短大のバラ園もチャペルも雪で覆われ、ひっそりと春を待っています。こんな冬にふさわしいすてきなエッセイを教育学担当の杉浦太一先生からいただきました。

<ヒトの冬籠り>

 黄色い花をたくさんつけ春を知らせる多年草のタンポポは、根を守るかのように地面に葉を広げて冬を越す。熊やリスは胃袋をいっぱいにして穴倉やむろで冬眠する。ヒトは?

といえば食糧をしっかり蓄えて耐える。生き物・生き方によってさまざまである。文明以前の狩猟・採集の時代は「移動」が基本だから、小さく耐えないで、限られたエリアに集まって、越冬共同体のような冬場仕様の生活があったのかもしれない。もしかして若き男女の出会いの場であったり、分岐した仲間との再会の場であったり。今でもよく言われるが、人間のこころの奥にある他者愛は、貧しいもの同士、被災者同士によく発揮されるらしい。もしかしてこれは、何万年、何十万年のこの越冬共同体の体験の記憶なのかもしれない、と思ったりする。限られた食べ物を分けあって、その分気分は温かくなって・・・食糧をかき集めてからだを養った夏場と、それを分けあって温もりあったこころの冬場、そんな切りかえがあったとしたら、寒さは応えてもそれはそれで幸せだったのではないだろうか。 文責・杉浦太一(教育学)

 

 


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